塩田尚の月例訪問2月号
- つくば市議会議員 塩田尚
- 2023年1月25日
- 読了時間: 3分
「子供の声がうるさくて窓も開けられない。長年苦しんできたが、もはや我慢の限界だ」。川崎市の幼稚園に隣接する住人の男性らが、国の公害等調査委員会(公調委)に、国内で初めて「責任裁定」を申し立てたのが平成29年3月の事です。昨年の暮れ、これに良く似た事件が長野市で起きました。「公園で遊ぶ子供の声が騒がしい」という近隣住民の訴えにより、公園を管理する長野市が今年3月で、何と公園を閉鎖する事に決めたのです。
つまり長野市は子供の声を『公害』と認めたのです。このニュースに接した時、私は非常に複雑な心境に陥りました。同じ様な事案が、つくば市でも必ず起きるだろうと想定されるからです! 現に10年程前にみどりの地区に新設した私立保育園の経営者から「子供の声がうるさいので建設をやめてほしいと近隣からクレームが来て困っている」との相談を受けた事があります。その時私は「今、つくば市は保育園・幼稚園に入れない待機児童の数が多過ぎて困っている。近隣の方々によく理解して頂くよう最善の努力をして下さい」とお答えしたものです。その時の私の正直な気持ちは「子供は国の宝」と言われて来たではないか。例え人様の子供であっても、なぜ地域全体で育てようとはしないのか、と思ったのです。その後、衝撃の事件(私にとっては)が私の住まいのすぐ近くにある保育所で起こりました。
夏になれば夏祭りを行います。私達の子供達が通った保育所ですので、いわば夏の風物詩として真瀬地区の人達は微笑ましく眺めているだろうと思っていました。しかしある年、にぎやかに開催されている夏祭りを見てみようと保育所へ行くと、何と制服の警官が道路に立っているのです。何事かときてみると、「夏祭りがうるさいからやめろ、との抗議が保育所に電話で寄せられて、念の為、警戒しているのです」との説明。
子供のにぎやかな声が聞こえてくると、自ずと頬がゆるむ私は、ごくフツーの日本人だと思っていました。しかし、子供達の声がうるさくて、もう我慢ならないと、悩みを抱えている人達もいるのです。ここに現代の病巣の一端を見ているような気がします。でも、、、
少子化でやがて国が潰れると日本中が騒いでいても、子供の存在そのものが“公害”だと騒ぐ大人達がいれば、良い子が育つ訳ないでしょう! いつから日本はこんないびつな国になってしまったのか。子供に我慢しろと教育しながら、実は教える立場の大人たちが我慢できない世の中になってしまったのです。ただ私はニュースで報道された幼稚園や公園がどれだけ“ひどい”状態なのかはよく知りません。しかし、子供達がのびのびと育つ環境を創ってやらなければと常に思っています。なぜなら教育は未来への最大の投資なのですから。私はこの日本の国を滅ぼしたくないのです。
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