塩田尚の月例訪問3月号

　ドバイへ逃亡しているガーシー国会議員。一昨年の参院選でＮＨＫ党から出馬して、何と当選。ところが一度も国会へ出席していないのです。前代未聞の国会が続いていますが、ではガーシー議員とはどのような人物なのでしょうか？

　職業はユーチューバー。つまりインターネットに情報を流して稼ぐ仕事です。元々はバーや芸能事務所、アパレルブランドなどを経営して、そこで多くの芸能人と知り合います。そこで「僕は口が堅いから大丈夫」などと言葉巧みに芸能人に近付き、秘かにアテンド、女性をあてがう仕事をやっていたのです。つまり芸能人専門の売春斡旋、つまり違法行為です。ところが違法賭博にのめり込み、ヤクザに借金をすると、何と自らが斡旋した芸能人の売春行為をネットで暴露して金を稼ぐようになります。そのやり方が規約違反だとされ、ユーチューブやツイッターのアカウントを停止されますが、当然の事でしょう。ところが彼はしたたかです。それをネタにオンラインサロンを開設。ガーシーを信用する人達から１か月１億円以上の金を稼ぐようになります。

　ところがそれでも金が足りなかったのか、それとももっともっと金が欲しかったのか、韓国のアイドルグループＢＴＳに会わせると人を騙して金を要求、つまり詐欺行為で今度は警察からも追われる身になります。そこで彼はドバイへ逃亡、今日に至ります。

　逃亡先のドバイからＮＨＫ党公認で参院選に出て、そんな男でも投票する国民が多く、彼は当選してしまいます。彼が一番欲している国会議員は警察に捕まらない「不逮捕特権」を手に入れてしまいます。しかも、です。彼の大好きなお金が、国民の皆さんからの税金から、毎月、報酬として支払われているのです。こんなおいしい、彼にしてみれば夢のような生活を国民が与えてくれるものですから、彼は日本へ帰って来て国会に登院する事は先ず無いでしょう。

　これ程恥知らずな異常事態がなぜ起きてしまったのか。最大の原因はインターネット、つまりバーチャル（仮想）の世界へ突入してしまった事です。

　私は政治にはリアリティ（現実性）が最も大事な事だと思っています。だから市民の皆さんには対面で直接会って話を聞くように努めています。コロナ禍で、そんな私の生き様をずいぶん批判された事も有りますが、可能な限り直接お会いする様にしています。アナログ人間と揶揄されていますが、一向に構いません。私の政治姿勢は、直に話を聞き、その事が実際に実現するよう努力する事に尽きます。バーチャルの世界では、市民を現実の世界へと導く事は出来ないと思っているからです。

　しかしガーシーを国会議員にしてしまったこの国の責任は重い。政治家も国民も、政治はどのようにあるべきものであり、選挙は何を意味するのか、この際、彼を反面教師として学ぶべきではないでしょうか。