塩田尚の月例訪問9月号
- つくば市議会議員 塩田尚
- 2022年8月31日
- 読了時間: 3分
選挙がある度に若者の選挙離れが指摘されます。投票権が18才に引き上げられたにもかかわらず、青年層、特に20才代の投票率が低いとの事です。若い人達は政治に関心が無いからだと言われて久しく、私自身もそのように思い込んでいました。ところが「自分の一票で国を間違った方向に向かわせたくない」こんな思いを持った真面目な若人が結構いるのだそうです。
花園大学の師(もろ)茂樹教授が学生たちを相手に数年に渡りアンケートを実施してきた結果、こんな意外な心境が明らかになったのです。自分たちはまだ若いし、社会経験も未熟だ。つまり政治について十分な基礎知識も備わっていないのに、無責任に投票して誤った候補者を当選させてしまったらどうしよう―。
つまり政治や選挙を真面目に考える余り、選挙に行かない方が正しい選択だと考える若人が結構いるとの事です。まさか、選挙に行かないのが政治嫌いではなくして国を憂える余りの究極の選択だとは、考えてもみませんでした。
考えさせられました。私たちは選挙に行かない人達をなじるばかりで、その真意を推し量ろうとしなかった事を。
私はつくば市の市議会議員という地方議会議員です。市議会の最大の仕事は、市の予算や決算、条例の制定や市民の皆様から出された請願等を審議し、議決する事です。私は議案の審議に関しては、その案件が市民の福利厚生に益するものであるかどうか、つまり多くの市民を幸せに導けるかどうかで、賛成するか反対するかにしています。しかし時には賛成するか反対するべきか迷う時もあります。私は保守改革派を自認していて、政党では自由民主党の党員になっています。でも地方議会では、党派を超えて、議員として取り組まなければならない事もあります。つまり主張を少し抑えても妥協点を見出す努力もしなければなりません。逆に議会全体の意見がまとまったけれども、自分としてはどうしても賛成出来ない、そういう事が過去に何度もありました。具体的に言えば「非核都市宣言」と「原子力発電の再稼働を認めない」意見書の議決です。両案とも私を除く全議員が賛成の意向を示しています。しかし私は無条件には賛成出来ない。なぜなら平和や安全は私も熱烈に希求するものですが、その方法論については私なりに譲れないものがあるからです。そこで私の取った行動は採決の際に退席、つまり棄権したのです。
私自身が棄権しておきながら、若い人達が選挙に無関心だなどとは、恥ずかしくて言えません。自らの一票が、国や地方の政治を誤らせるのではないかとの若人の真摯な思いをしっかりと受け止め、自信を持って投票所へ行けるような、情報発信を心掛けて行こうと思います。
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